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赤羽根先生が解説!薬剤師採用における法的リスクと対策2

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編集部からのコメント

    このコーナーは薬剤師資格を持つ弁護士の赤羽根秀宜先生に、病院や薬局、ドラッグストアの採用や人事・労務に関するトラブルや気になる問題に回答いただくコーナーです。薬剤師の採用を担う人事担当者の方はもちろんのこと、薬剤師を雇用する経営者の方にも有益なコンテンツをお届けいたします。

 

【質問3】

面接のときに聞いてはいけないこと(家族に関すること・住居状況に関すること等)を聞いてしまいました。のちほどエージェントを通じてクレームがきたのですが、何か罰則はありますか?

 

【回答】

採用にあたっては、職業安定法第5条の5等によって、業務に直接関係のない事項を尋ねることは禁止されています。
違反行為をした場合の直截の罰則はありませんが、職業安定法に基づく改善命令が出される場合があります。 この改善命令に違反した場合は、罰則(6ヶ月以下の懲役又は30万円以下の罰金)が科せられる場合もあります(職業安定法65条1項8号)
このような質問をすることは、企業の信用の低下などにもつながるため、質問の項目が問題ないような対応をとっておく必要があるでしょう。

 

【質問4】

内定者が履歴書や面接で虚偽の申告をしていた場合など、内定取り消しはどのような場合に可能となりますか。

 

【回答】

内定は法的には「始期付解約権留保付労働契約」とされています。
始期付とは、就労開始日が定められていることあり、解約権留保付とは、内定取消事由が発生した場合企業が内定を取り消す権利を有することを意味しています。
もっとも、解約権が留保されているとしても、労働契約は成立しているため理由なく取消ができるわけではありません。
最高裁判例では、内定取消は以下の場合に認められるとされています。

 

【内定取消が認められた例】
・内定時点で知ることができず、また知ることが期待できない事実が発生した場合
・解約権留保の趣旨・目的に照らして客観的に合理的であり、社会通念上相当と認められる場合

具体的な例としては以下のものが想定されます。

例:履歴書等に虚偽の内容が含まれている場合

※ただし、軽微なものであれば取消までは難しい場合もあり、重大で、採用内定の趣旨・目的に照らして合理的であると判断されるものの場合です。

・内定後に重大な病気やケガを負い、勤務が困難になる場合
・新卒者の場合であり、予定していた学校を卒業できなかった場合
・業務に必須の資格や免許を取得できなかった場合
・内定後に刑事事件を起こした場合、不適切な行動が発覚した場合。

※ただし、内容が軽微な場合は取消まではできない場合もあります。

 

なお、上記は内定後の取消であり、所謂「内々定」であればその内容によりますが労働契約にならないことが多いとされています。

 

 

弁護士・薬剤師 赤羽根 秀宜
JMP法律事務所 薬事・ヘルスケア・医療グループ 代表弁護士。
薬学部卒業後、薬剤師としての勤務経験を経てから弁護士に。薬剤師としての知識・勤務経験及びネットワーク等も活用し、薬事・ヘルスケア・医療等に関する事業等の法的支援を取り扱う。

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